医療機関の開業において、非常に重要な基準として「床数」があります。
ここでは医療機関における床数の違いと、経営上の考え方について解説していきます。

医療機関における床数の違い
医療機関は、その床数において明確に区別されています。
入院設備 | 床数 | |
病院 | あり | 20以上 |
(有床)クリニック | あり | 19以下 |
(無床)クリニック | なし | 0 |
20床以下の医療機関を「クリニック(診療所)」と呼ぶため、有床クリニックも無床クリニックもひとまとめで「クリニック」と呼ぶこともよくあります。ただここでは、分かりやすくするために、「無床クリニック」と「有床クリニック」として分けて解説していきます。
無床クリニックと有床クリニック、そして病院では、人員や運営の状態が大きく異なります。
無床クリニックか、有床クリニックか、それとも病院か、その違い

ここからは、無床クリニックと有床クリニック、そして病院の違いについて詳しく見ていきましょう。特に、ここでは無床クリニックと有床クリニックの違いに焦点をあてていきます。
・人員配置の違い
無床クリニックの場合は、医師一人であっても開業することができます。しかし有床クリニックの場合は、看護師などのほかのスタッフがいなければ開業することができません。
また、病院の場合は医療法による制限が厳しく、看護師のほかに栄養士などの配置が必要になってきます。
・開業可否の違い
無床クリニックは比較的開業しやすいのですが、有床クリニックは地方自治体によっては開業が制限されることがあります。
たとえば大阪府の場合は、「既存の医療施設の床数だけで、医療計画の基準病床数を大きくオーバーしている」として、新規で有床クリニックを開業することは基本的にはできません(※精神科など、一部の診療科については認められる場合もあります)。
・働き方の違い
無床クリニックの場合は、オンコールや夜勤対応を必要としません。患者様の入り方によっては残業しなければならなくなることもありますが、有床クリニックに比べればプライベートの時間を確保しやすいといえるでしょう。
対してあり床クリニックの場合は、オンコールや夜勤対応を求められることが多いといえます(※ただしスタッフを雇うことで、ある程度この大変さは軽減することができます)。
・対応範囲の違い
有床クリニックでは、無床クリニックに比べてより患者様に対して専門的な医療を提供することができます。また、病院に比べてより小回りが利きやすく、また一人の患者様を一人の医師が診ることが基本となるため、一人ひとりに対して長く関わっていくことができます。
無床クリニックの場合は、入院が必要となる患者様に対しては、病院などへの紹介状を書くかたちで対応していくことになるでしょう。
・経営の違い
病院の施設数は1986年からほぼ横ばい、無床クリニックはその数が増え続けているのに比べて、有床クリニックはその数は徐々に減り続けています。それは、有床クリニックが病院と同じように入院医療を行っているにも関わらず、入ってくる医療費が少ないからです。
ただ高齢化社会が進んでいる現在、有床クリニックのニーズは上昇しているため、経営の仕方や認知度向上の取組を行えば、その未来は暗いものにはなりにくいでしょう。
無床クリニックと有床クリニックは、どちらが良い・悪いといえるものではありません。また、無償クリニックと有床クリニックのいずれを選ぶかは、まずは先生自身の「やりたい医療」「提供したい医療」の先にある決断です。ただその決断を後押ししたり、より良い決断をしたりするためには、無床クリニックと有床クリニックの違いを把握しておくことが有用といえます。
私たちKSメディカルサポート株式会社では、無床・有床に関わらず、クリニックのお立ち上げのお手伝いをしています。
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