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導入が推奨される「電子カルテ」、国の指針とその意味について

経営コラム

導入が推奨される「電子カルテ」、国の指針とその意味について

現在は数多くの分野でDXの動きが進んでいます。医療業界もまた、例外ではありません。 今回の記事では、「医療分野におけるDX」のうちの代表的な例である「電子カルテ」を取り上げて、国の指や、電子カルテのもたらすメリットとデメリットについて解説していきます。

導入が推奨される「電子カルテ」、国の指針とその意味について

国の指針では「2030年までに電子カルテへの意向を」

DX(“digital transformation”、デジタルトランスフォーメーション、デジタル・トランスインフォメーションとも。ここではこれ以降は「DX」の表記に統一。デジタルテクノロジーを利用して、ニーズをより効率的に満たしていこうとする試み)という言葉が取り上げられるようになり、長い時間が経ちました。DXのもたらす変化は急速かつ有用なものであり、国もこれを推し進めようとしています。

もちろん、医療の分野も例外ではありません。 2023年の6月2日には、「医療DX推進本部」の第2回会合が開かれて、そこでこの「医療におけるDX」のことが論じられました。この会合で、「医療機関およびその医療機関と連携を取る薬局が、電子カルテを利用し、それを共有できる仕組みを2030年までに構築~普及率を100パーセントにさせること」を目的とした工程表が出されました。

またここでは、それ以外にも、「全国医療情報プラットフォームを創設させること」「診療報酬改定DXの開始」が提唱されました。 全国医療情報プラットフォームとは、電子カルテともつながるものであり、処方箋や検診、予防接種などの医療全般の情報を共有できるようにするためのシステムです。今までこれらは各自治体で個別に保管されていましたが、全国医療情報プラットフォームが作られれば、患者様お一人おひとりの情報を全国どこからでも閲覧できるようになります。 また、「診療報酬改定のDX」では、「たとえ診療報酬の改定が行われても、共通算定モジュールを利用することで、エンジニアがそれを逐一プログラムに落とし込む手間を削減する」というものです。

電子カルテ導入のメリット・デメリット

導入が推奨される「電子カルテ」、国の指針とその意味について

「2030年までに、電子カルテの100パーセント普及を」と謳われていますし、現在すでに電子カルテを使っている病院・医師の方々も多く見られます。ただ、2023年現在の段階では、未だ電子カルテの普及率は100パーセントにはなっていません。 これには、電子カルテの持つデメリットが大きいと思われます。 電子カルテを運用するためには当然運用コストがかかります。初期導入費用はもちろん、毎月のランニングコストもかかります。さらに、この電子カルテのシステムに慣れるためにも一定の期間が必要であり、この「学ぶための時間」にも当然人件費が発生します。小さな医療機関の場合は、「そもそも患者様の数が少なく、今までのやり方で十分に処理できるのに、わざわざ電子カルテを導入しなくても……」と二の足を踏むことも多いと思われます。

ただ、電子カルテにはそのデメリットを補って余りあるメリットがあります。 電子カルテだけではなくDX全般に言えることですが、最新技術は最初に学ぶ手間がかかるものの、慣れてしまえば従来のやり方よりも大幅に効率的に処理を進めていくことができます。見たい情報をすぐにリアルタイムで確認することができますし、何よりも「間違い」を防げるようになります。患者様お一人おひとりのアレルギー情報や薬の情報、病歴などを確認することが容易になるため、医療事故が起こりにくくなると期待できます。 さらに、ほかの医療機関との連携がとりやすくなるというメリットもあります。現在すでに分院があったり、将来的に分院を考えていたりする場合は、特にこのメリットが大きくプラスになるでしょう。

医療業界の在り方は、日々変わっていっています。DX、とりわけ電子カルテへの変更の波は、もはや止められるものではありません。「今はまだ紙のカルテを使っている」という場合は、早めに電子カルテに切り替えることをおすすめします。

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