病院の開業において問題になるのが、「資金面」です。この資金面の問題を解決する方法のひとつとして、「医院継承」があります。
医院継承とは、閉業検討中の経営者がほかの経営者にその運営を託すこと
「医院継承」とは、「今現在医院を持っている人が、だれかに対してその医院を引き継がせること」をいいます。「医業継承」とも呼ばれます。医院継承を受けて開業することは特に「継承開業」と呼ばれます。
医院継承の継承先は、以下の3つです。
1.子どもあるいは孫などの親族
2.ほかの医療機関や医療法人
3.第三者
「医師免許を持っている子や孫がいるので、自分は引退して医院を継がせたい」などの希望があるのならば、1が適当です。2の方法はある程度時間がかかりますし、継承させたい側が医療法人の場合は特別な手続きが必要になります。
医院継承は、親族や医療機関だけでなく、第三者に対しても行うことができます。この「第三者」は、友人や知人であっても構いませんし、まったくの他人であっても問題ありません。まったくの他人のなかから継承者を探そうとする場合は、医師会などを利用して後継者探しを行うことも視野に入ってきます。
医院継承がもたらすメリット
高齢化が進み、職業の自由も完全に認められた今、「長く個人病院を続けてきたが、継承者がいない」という状況に陥る病院も決して少なくはありません。
そのような人にとって、自分が診てきた患者さんをそのまま託せる医院継承は、非常にメリットが大きいものです。
原則としてスタッフもそのまま雇用され続けますし、譲渡にあたってまとまったお金を得ることができるのも大きな魅力です。この「譲渡のときに受け取った金額」を、老後の資金として使うこともできるでしょう。
書類をそろえる手間などはかかりますが、「継承する側」にとって非常に利点が多い制度だといえます。
この医院継承は、「継承する側」にとっても非常にメリットがあります。すでに医療機関を運営しているところが継承者となる場合は運営規模を大きくすることができますし、まだ自分の医院を持っていない人は格安で開業をすることが可能になります。
特に後者の利点は、非常に大きいといえます。診療する科をどのようなものにするかによってかかる金額は異なりますが、医院の開業には機材の購入費などで多額のお金がかかります。しかし医院継承の場合は、この初期投資額を大きく抑えることができるからです。銀行の融資も受けやすくなるでしょう。
加えて、スタッフや患者さんをそのまま受け継ぐことができるため、「スタッフ確保のための費用・お金・手間」をかける必要もありません。新規医院にとってもっとも重要でもっとも大変なこととして「患者さんの確保」がありますが、医院継承ならば、「以前から通っていた患者さんがそのまま通い続けてくれる状態」を作りやすいのもメリットです。
また、患者さんにとっても、「ずっと通っていた医院が、閉業することなく残り続けてくれること」には大きな安心感につながります。
もちろん、医院継承は「万能で、だれもが100パーセント得をする制度」ではありません。上でも述べた通り譲る側には書類用意の煩雑な手間が必要となりますし、譲り受ける側にとっても「設備が古い」「開業場所を自由に選ぶことができない」というデメリットはあります。しかしそれでも、それを上回るメリットを実感しやすいのが、医院継承の特徴だといえるでしょう。
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